ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3512)

 「的確な意思決定」と「実際の結果」を区別する

 籠屋邦夫(著)『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』(クロスメディア・パブリッシング)を読んで、意思決定の心構えについて、大変な感銘を受けました。

 特に、今の僕にとって肝に命じておきたいのは、「的確な意思決定」と「実際の結果」の区別です。著者の言葉を引用します。

 "良くない結果が出る可能性を承知の上で、それでも、やり直しのきかない経営資源の配分を実際に行う決断をすることでしか、未来の可能性を最大化することはできないのです。"

 "良くない結果が出た時に、意思決定の質を問わず、結果の良し悪しだけを見て賞罰を行う組織は少なくありません。そんな経営者や上司のもとでは、従業員の挑戦するスピリットが次第に失われていくでしょう。"

 "また、偶然まぐれ当たり的な成功を収めた人が、その結果のみで高い評価を受けるようなことになっても問題です。"(前掲書P127)

 生意気に聞こえると思いますが、これはまさに、僕の関心の中心にある事柄でした。

 僕は日々、不確実で、運や偶然に左右される状況下で、成果を出す必要があることを仕事にしています。要は、成果が出るかどうかは、「運」や「偶然」に左右される要素が大きい。

 これが何を意味するか。要は、成果が出た時は、「どうせマグレでしょ」と思われる一方で、成果が出なければ、「実力不足だ」と見做されることを意味しています。

 当然ながら、結果を出せなければ、クビになることも覚悟しています。その一方、たぶん勘違いですが、「仲間の雇用を守る」という決意もあります。

 だから、平日も休日も関係なしに、(主観的には)猛烈に勉強しています。

 あと1冊、関連書を読んで、あの一節に出会っていれば、有益な知見と洞察が得られ、成果を出せたかもしれない。そうすれば、クビになり、路頭に迷い、ハローワークで年収半減の仕事を探さずに、済むかもしれない。

 あるいは、大切な仲間が、失意のうちに職場を去ることになる事態を、回避できるかもしれない。

 クビになった後で、「もっと勉強しておけば良かった」と後悔をしても、「時すでに遅し」。

 その後悔をしないためには、今この場で、ベストを尽くして、「これでクビになるなら、諦めもつく」という水準まで、見識を深めるしかありません。

 おそらく、僕の勉強量は、平均的なビジネスパーソンよりは、多いと思います。1日1冊ペースの読書を、ここ15年間続けています。それでもやはり、未来や人間心理は読み切れない。

 山勘の的中率は高い方だと思いますが、「これでいいのか。これがベストの選択だったのか」などと、ほとんど一日中、あれこれ考えて、葛藤と反省を繰り返しています(その割に成長しない「残念な人」であることも自覚しています)。

 僕は明らかに、「実際の結果」を重視しています。一方、これまで、「意思決定の質」については、殆ど考慮していませんでした(「残念な人」なので)。

 ただ、よく考えれば、確かに両者は別物です。そして、たとえ実際の結果が伴わなかったとしても、後悔しないという意味において、「良い意思決定」は、確かに存在する。これは、目から鱗でした。

 というわけで、僕は今後、「実際の結果」をもとに、反省するだけでなく、「意思決定の質」についても、人智が及ぶ限り、高めようと考えています。

 もちろん、「質の高い意思決定」をしたところで、意思決定のプロセスは、誰も見ていないかもしれない。褒められたくて、やるわけではない。何より僕自身、究極的には「結果が全て」だと思っています。

 それでも、「結果が全て」の世界で、運や偶然、不確実性と戦いながら、少しでも勝率を高めるためには、単なる山勘(だけ)ではなく、やはり「質の高い意思決定」が必要だと思います。

 久しぶりに、本当の意味で、良い本に出会えました。良い本との出会いも、「運」に左右されますが、改めて思い出すのが、「運も実力のうち」という格言です。

 山田宏哉記



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