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 「こいつだけは許せない」

 ふと気付いたのですが、個人的に「こいつだけは許せない」と感じることが、 ほとんどなくなりました。

 思うにこれは、「強さ」と密接な関係にあります。

 僕も以前、「こいつだけは許せない」と思う人が何人かいました。  でも今は、特に何も感じません。

 僕は数年前の自分と比べれば、身体的にも精神的にも、今が圧倒的に強いです。胸骨が折れたくらいなら、肉体労働も休みません。

 物騒な言い方をすれば、今なら相手を「病院送り」にすることもできます。  でも昔は、相手を「病院送り」にする実力(?)がなかったので、本気の憎しみを抱いたのでした。

 もし、強さと引き換えに失うものがあるとしたら、それは「本気の殺意」です。

   「本気の殺意」というのは、中学生や高校生が仲間内でハッタリとして使う「殺すぞ」ということではありません。

 食べ物に毒物を混入したり、黙って刃物を手にして、黙って相手に突き刺すような衝動です。「本気の殺意」が自分に向かえば、「自殺願望」となります。

 「本気の殺意」を抱くのは、大抵、弱い男です。  自分の言いたいことも言えず、肉体的な喧嘩になっても、負ける連中です。 (女性は、一般的に言いたいことが言えますからね。)

   こうなると、怨念や憎しみといった否定的な感情がたまる一方なのです。  だから、「強くなることはいいことだ」と僕は断言できるね。  

山田宏哉記

P.S. たまには社会的に役に立ちそうなことを言いますね。

2005.11.17

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