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 ライバル意識は、常に片思い

 おもしろいことに、どんな分野でも、ライバル意識というのは、常に弱者が強者に対して抱くことになります。

 なので、「自分とあいつはライバル同士だ」などと公言すると、大抵、恥をかきます。 相手は、自分のことを特に何とも思っていなかったりするからです。

 もしくは、「あの人も結構、がんばっているよね。」などと相手を誉めたりします。

 弱い方は、必ず、自分より格上の相手を引き合いに出して、比較したがります。そして、ドン・キ・ホーテのように一人相撲に熱中します。

 一方で、自分より格下の相手と比較することは、まずありません。  そうする理由がないからです。

   これは、第三者の視点から見ると、非常によくわかります。

 なので、ライバル意識を持つのは悪くはないけど、やはりそれは、胸にしまっておくべき事柄です。

 悪口も同じです。  必ず、レベルが低い側の人間が、レベルの高い側の人間に向かって言うはめになります。

 例えば、売れない作家が、ベストセラー作家に対して、「商業主義に走って、質の低い本を書いている」という感情を抱いている場合があります。

 反面、ベストセラー作家は、その売れない作家に対しては、特に何の感情も持っていないでしょう。何か批判されても、「聴く耳を持たない」はずです。  

 倫理観で、「悪口を言ったり、ライバル意識を持つのはよくない」というだけでは、不十分です。ライバル意識や悪口の本質は、「あいつより俺の方が格上だ」というアピールだからです。

 自意識過剰と虚栄心の大きさに対して、他人からの評価が低いと感じた時、人は、欲求不満から自分より格上の人間の悪口を言わざるを得ないのです。

 僕は今、他人を誉めることが多くなりました。  これは、我ながら、成長しました。

   反面、例えば、「頭が悪い」「人間関係がヘタ」「女々しい」などと言われても、「そうかもね」と案外、認めてしまいます。

 やはり、それは根本で、自分自身に対して絶対的な自信があるからです。 

山田宏哉記

P.S. だからこそ、「一切、他人の悪口を言わない」は、十分に美徳として貫く価値があります。

2005.11.26

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