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 ながら呼吸トレーニング

 近頃、にわかに呼吸法が注目を集めているようです。  確かに、ヒトは呼吸をしなければ生きていけないので、 呼吸が大切なのは、ごもっともです。

 以前、熱心にヨガの教室に通っていた時、あぐらをか いて呼吸に集中する時間がありました。  

 僕は正直、この時間をじれったく感じました。

 「呼吸というのは、わざわざ単独で抜き出して、みん なで一緒にトレーニングするものでもないだろう」と考 えていたからです。何だか軟(やわ)すぎて、トレーニ ングした気にならなかったのです。(未熟ゆえ)

 今でも、率直に僕の実感を言えば、「呼吸のためにわ ざわざトレーニング時間を割くのは、もったいない」と 思います。もちろん、やらないよりは、やった方がいい でしょう。

 ただ、仕事もプライベートもスケジュールが過密な人 が、「これから毎日2時間、呼吸法の鍛錬をするぞ。フ ンッ、ハッ!」などとやるのは、非現実的です。

 しかも、呼吸法のトレーニングをしていない残りの22 時間、口から新鮮な排気ガスを吸い込むような生活をし ていたら、元も子もありません。

 むしろ大切なのは、1日24時間の日常生活の中で、呼 吸が浅くなったと感じられたら、意識的に深い呼吸を心 がけることです。(あと、口ではなく、鼻で呼吸する。)

 横隔膜(おうかくまく)を引き上げたり、押し下げた りしながらの腹式呼吸を心がければ、内臓も動いてマッ サージされるというおまけがつきます。

(ヨガの修行者には、お腹がへこんで、アバラが浮き上 がっているイメージがありますが、あれは内臓を引き上 げてマッサージしているのでした。)

 同じことはヴォイス・トレーニングにも言えます。専 門家で無い限り、わざわざ発声練習のための時間を取る より、他人と何気ない会話をする中で、声のトレーニン グを兼ねた方が、実践的かつ効率的だと思います。

山田宏哉記

P.S. 「やった気がしない」というのは、意外とバカにできない要素ですね。

2005.12.8

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