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 手紙で先走りすぎない/恋愛論の達人6

 悪評連載の「恋愛論の達人」も架橋に入ってきました。  先回、「普通に会話ができる間柄なら、別に、何回誘ったっていい。」と書きました。

 ところが、どうも彼にとっては、「普通に会話ができる間柄」という部分が障害になっていることが判明しました。

 実は、彼は、その女性とこれまで挨拶をしたことしかなかったらしいのです。  「お詫びのキャンディ」が来ただけでも奇跡的です。

 ただ彼は、過剰に文学的な手紙に加えて、(デートを断られたばかりなのに)もう次の待ち合わせの日時と場所まで一方的に書いてしまったらしいのです。相手の女性のことを思うと、僕まで心が痛みます。

 和歌で男女の駆け引きをしていた平安時代ならともかく、現代において、熱い手紙で先走るのは、自分の首を絞めることになります。「合わせる顔がない」のももっともです。

 「書く側」に属している僕が言うのも変ですが、原則として、まだ打ち解けてない人に対して、声に出して言えないことを、手紙やメールで書いてはいけないのです。

 普段から顔を合わせる機会があるなら、なおさらです。それは、「逃げ」です。

 特に女性は、「これまで、その人とどれくらいおしゃべりしたか」を大切にします。

 だから、それまで普通の会話をしたことがない人が、いきなり情熱的なラブレターを書いても、成功率はほとんどゼロでしょう。(常識以前の話なんだけどね。)

 男性は、メディアに出るグラビアアイドルとかを見慣れて批評とかしていると、こういう素朴な感覚が薄まってしまうのかもしれません。

 どうしても、普通の会話の素材が見つからないなら、せめて面と向かって「一目惚れしました」と言って撃沈(?)した方がよかったよね。  

山田宏哉記

P.S. すでに息絶え絶えの「恋愛論の達人」ですが、もしかしたら大逆転が起きるかも知れません。

2005.12.23

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