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 クリスマス・イブの逆襲/恋愛論の達人(完)

 僕が、恋愛論の能書きを垂れていた男性は、一発勝負に出ました。  挨拶しかかわしたことのない女性に対して、手紙で一方的に呼びつけた日時が、クリスマス・イブだったのです。

 「1パーセントの可能性に期待している」  彼は言いました。

 内心、「来るわけないじゃん。」と思いましたが、彼の話を聞いているうちに、僕も「もしかしたら、1パーセントくらいの確率で、来るかもしれない。」と思いました。

 果たして、本日、彼と顔を合わせるので、結果がわかることになっていました。  何だか僕まで、ドキドキしました。

 果たして、表情を見た瞬間、結果はわかりました。

 でも僕からは、何も聞きませんでした。  彼はなかなか、あんなに嬉しそうにしていた「例の話」をしません。

 ようやく口を開いて出てきた言葉はこうでした。  「例の件の結果を言うと、来ませんでした。後は、武士の情けということで…」

 当たり前といえば、当たり前なんだけどね。

 でも、偉いじゃないか。  僕なら、たぶん、挑戦する前に諦めてた。

 傷つく可能性の方が圧倒的に高いのに、あえて行動した。  無謀で、相手に迷惑ばかりかけただろうけど、気持ちを伝えただけでも、価値があることだ。  

 勝手に「恋愛論の達人」の称号を贈るので、気を取り直して、また出直しましょう。

山田宏哉記

P.S. 「恋愛論の達人」(完) 

2005.12.25

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